レースに臨む前の体調管理について
『天候と脱水、低体温症の関係』
気温が高ければ脱水・熱中症になるランナーが多くなり、気温が低ければ低体温症になるランナーが増加します。天候の変化などに備えて通気性、保温性、吸湿性、放湿性などが異なる着替えをもう一枚用意しましょう。
『低体温症』
体温が35℃を下回ってくると全身の震えが出てきます。これよりも体温が下がると不整脈、筋肉が硬直するような症状で歩行困難が出てくる、意識低下がみられるなど緊急を要する状態となります。このような症状が出てきたらすぐに防寒着を着てください。すぐに体温を上げることが非常に大切です。
『熱中症』
汗を大量にかき、水分補給が不足すると身体に熱がこもり中枢機能に異常があらわれます。
めまい・脱力・顔面蒼白・呼吸回数上昇・筋肉痛などから、頭痛、吐き気、意識低下など軽傷から重症の症状まで様々なものがあります。
熱中症を防ぐためには、こまめに水分をとることが大切です。しかし多すぎると水中毒になるため注意してください。
水分が失われて体重が2〜3%減ると、運動能力や体温調節機能が低下し、熱中症になる可能性が出てきます。運動による体重減少が2%を超えないように水分を補給しましょう。また、大会前には塩分摂取を少し増やしましょう。
『脱水症状』
吐き気・嘔吐や、頭痛、手足の痙攣、倦怠感、体温の上昇などが見られます。私たちの体は、私たちが感じることなく1日で900mlも水分を気道や皮膚から喪失するといわれています。これは不感蒸泄と呼ばれるもので、発熱時や過換気でさらに増加します。
気温の高い春〜秋に行うマラソンは冬に比べて脱水になる確率は高くなります。冬でも脱水にならないためにはこまめに水分補給をする必要がありますが、飲み物はできるだけスポーツドリンクなど塩分が0.1%〜.2%程度含まれた飲み物を飲むようにしましょう。(湘南国際マラソンではスポーツドリンクを準備しています。)
『筋肉痛・関節痛の対応』
マラソンの最中に太ももや膝、ふくらはぎなど足が痛くなってしまうと、どのような応急処置をしてもすぐに痛みをとることは難しいです。その時は少し立ち止まってストレッチやマッサージをしましょう。
冷却スプレーなどの消炎鎮痛剤は痛い部分にスプレーをかけたり、塗ったりしてもすぐに痛みがなくなるような効果はあまりありません。むしろ走り終わった後に使用することで効果が得られます。
走っている最中に転倒して打撲をしたり、段差などで踏み外して捻挫をする事がまれにあります。このような時は、すぐに怪我をした部分を冷やしましょう。患部の冷却は腫れを抑えることが出来ます。
●レース中は水分補給を心がけましょう。
●体調に異常を感じたら、早めにレースをやめる勇気を持ちましょう。
●ラストスパートは急激に心臓に負担がかかる危険な走り方ですので、余裕をもってフィニッシュしましょう。
マラソンに取り組む市民ランナーの安全10か条
日本体力医学会ガイドライン検討委員会
(公財)日本陸上競技連盟医事委員会
1.普段から十分な栄養と睡眠をとりましょう。
2.喫煙習慣をやめましょう。
3.メディカルチェックを毎年受けましょう。
4.生活習慣病がある方は、かかりつけ医とよく相談しましょう。
5.計画的なトレーニングをしましょう。
6.気温、湿度に適したウエアの着用と、適切な水分補給をしましょう。
7.胸部不快感、胸痛、冷や汗、フラツキなどがあれば、すぐに走るのを中断しましょう。
8.足、膝、腰などに痛みがあれば、早めに対応しましょう。
9.完走する見通しや体調に不安があれば、やめる勇気を持ちましょう。
10.心肺蘇生法を身につけましょう。
マラソンに取り組む市民ランナーの安全10か条
(公財)日本陸上競技連盟医事委員会
安全にレースをはこぶために、レース当日の体調をスタート前にチェックしましょう。
下記項目(1〜8)の中で、1つでもあてはまる項目があれば、レース参加を中止するか、慎重にレースに臨んで下さい。
①熱がある、熱感がある。
②疲労感が残っている。
③昨夜の睡眠が充分にとれなかった。
④レース前の食事や水分をきちんと摂れなかった。
⑤かぜ症状(微熱、頭痛、のどの痛み、咳、鼻水)がある。
⑥胸や背中の不快感がある。動悸・息切れがある。
⑦腹痛、下痢がある。吐き気がある。
⑧レース運びの見通しが立っていない。
ナンバーカードを受け取ったら、緊急時の連絡先、その方の電話番号をナンバーカードの裏面に書いておきましょう。